ハンチングとの違いや被り方をご紹介

いつものコーディネートに物足りなさを感じたとき、被るだけで一気におしゃれな雰囲気をプラスしてくれるアイテムが帽子です。中でも、独特のボリューム感と丸みのあるフォルムが特徴のキャスケットは、男女問わず根強い人気を誇ります。レトロでクラシカルな印象がありながら、カジュアルな服装にも馴染みやすいのが魅力です。この記事では、似ているようで実は違うハンチングとの見分け方や、キャスケットならではの楽しみ方、そしてこなれ感を演出する被り方のコツについてご紹介します。

ふんわりとした丸みが作る小顔効果と優しい表情

キャスケットの最大の特徴は、何と言ってもそのふっくらとした丸みのあるシルエットです。一般的に6枚や8枚の布を縫い合わせて作られることが多く、トップ部分に十分なボリュームがあります。このクラウンと呼ばれる頭の部分が風船のように膨らんでいるため、被ったときに顔周りにボリュームが生まれ、対比効果で顔を小さく見せてくれるという嬉しいメリットがあります。特に8枚はぎのタイプは、ニュースボーイキャップとも呼ばれ、古き良き時代の映画に出てくる新聞配達員のような、クラシックで愛らしい雰囲気を持っています。

キャップやハットのようにつばが付いているため、日除けとしての実用性も兼ね備えていますが、それ以上にファッションアイテムとしての側面が強い帽子です。素材もコットンやリネン、ウール、レザーなど多岐にわたり、季節を問わず楽しむことができます。ふんわりとした柔らかいフォルムは、被る人の表情を優しく見せてくれるため、帽子初心者の方や、シャープな帽子が苦手という方にもぜひ試していただきたい形です。メンズライクなワークスタイルにはもちろん、女性らしいワンピースやスカートスタイルの外しアイテムとしても活躍し、ひとつ持っているだけでコーディネートの幅がぐっと広がります。

ハンチングとの決定的な違いはクラウンの構造

帽子屋でよく耳にするのが、キャスケットとハンチングの違いがよく分からないという声です。確かにどちらもつばが短く、前方に倒れ込むような形をしているため、同じカテゴリーとして扱われることもあります。しかし、この二つには明確な構造の違いがあります。ハンチングは基本的に一枚天井で、トップが平らで滑らかなラインを描いています。横から見たときに頭の形に沿うようなシルエットになり、シャープでスポーティー、あるいはダンディな印象を与えるのが特徴です。

一方でキャスケットは、先述したように複数の布をはぎ合わせて作られているため、トップにゆとりがあり、横に広がるようなボリュームを持っています。ハンチングが頭にフィットさせる帽子だとすれば、キャスケットは頭に乗せて形を作る帽子と言えるでしょう。天井の真ん中に「天ボタン」と呼ばれるくるみボタンが付いていることが多いのもキャスケットの特徴の一つです。最近ではキャスハンチングといって、両方の特徴をミックスしたようなデザインも登場していますが、基本的にはトップが平らか、ふんわりと丸いかで見分けることができます。シュッとした大人っぽさを求めるならハンチング、程よい抜け感や可愛らしさを求めるならキャスケットというように、なりたいイメージに合わせて使い分けるのがおすすめです。

アレンジ自在な被り方でその日の気分を変える

キャスケットのもう一つの魅力は、被り方のアレンジが豊富であることです。最も基本的な被り方は、つばを前にして眉毛の上あたりまで深く被るスタイルです。これだけでも十分様になりますが、ここからさらに一工夫することで、よりこなれた印象を作ることができます。例えば、トップのふくらんだ部分を指でつまんで、左右どちらかに少し傾けてみてください。アシンメトリーなシルエットを作ることで、顔周りに動きが出て、遊び心のあるスタイルになります。また、クラウンの余った部分を前に倒せばハンチング風に、後ろに倒せばよりボリューム感が強調されたりと、その日の気分で形を変えられるのが楽しいポイントです。

さらに、ぜひ挑戦していただきたいのが後ろ被りというスタイルです。これは文字通り、つばを後ろに回して被る方法です。キャスケットをつばが後ろに来るように被ると、前から見たときにベレー帽のような丸いシルエットになります。つばが首元に来ることで襟足の日焼け対策にもなりますし、顔周りがすっきりとして明るい印象になります。キャップの後ろ被りほどやんちゃにならず、大人の落ち着いた雰囲気を残したまま変化を楽しめるのがキャスケットの後ろ被りの良さです。気分や服装に合わせて、つばの向きやクラウンの傾きを変えながら、自分だけのお気に入りのバランスを見つけてみてください。